杏 林 製 薬 ⑥ 編

hourouhen

時に1975年8月14日 お盆休みで僕は会津に帰省していた。

その日は朝から何もすることがなく、家でゴロゴロしていた10時過ぎ、友達と買い物をして帰って来た姉が突然「手塚治虫が来るみたいよ」と言ったのである。「ナ、ナニーッ!!」
『またまた冗談でしょ。本当に来るのであればすでに大騒ぎになっているはずだし、姉ちゃんも人が悪いなァ』と信じませんでした。
「だったら自分の目で確かめてきたらいいべした」と姉に言われたので、会津で一番の繁華街〔神明通り〕のしらい画廊へ行ったところ、入口の小さな看板に
【手塚治虫先生来たる! 11時からマンガ教室開催】と本当に書いてあったのである。
それからはもう頭の中は大混乱。心臓はバクバク状態で、中学生からの大親友Y君にすぐ来るよう電話し、やがて合流した僕達は「本当に来んのが?」「あっ、サインをもらう色紙忘っちゃ」などと興奮しながら待ったのです。そしてついにその時が・・・

しらい画廊は喫茶店を併設しており、その店からベレー帽をかぶった一人の男性が出てきました。『アッ、手塚先生だ!本物だ~~~』

それからはあまり記憶がなく、先生のニコニコした顔と優しい声しか覚えていません。そして夢のような時間は過ぎ、気が付いたら終了していたのである。
「シマッタ!話かけられなかった。サインもらえなかった」
「いまだに信じらんに」
「手塚先生のオーラが凄かったなー」
などと、Y君と話しをしながら興奮状態のまま帰宅したのでした。

後でわかったのですが、手塚先生は家族旅行で会津に来たそうで、急遽マンガ教室を開催したので、あまり話題にならなかった様です。

奇跡のようなお盆休みを過ごした僕は、野木町へ戻っていったのでした。

【めもあある漫画館】

〔 火 の 鳥 だ っ た の か ! 〕

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