黎 明(小 学 生 時 代 ②) 編

reimeihen

多分、四年生の時だったと思います。町には北島三郎の〔 函館の女 〕が流れていました。

ある時、隣のクラスに転校生が入ってきたのですが、漫画がすごく上手いという噂が聞こえてきました。友達からも「鉄人28号は、松本より上手いんじゃね」と言われちょっとドキッとしましたが、当時の僕は天狗になっていたので「へーッ そうなんだ」と軽く受け流していました。

そんなある日、その転校生が突然僕のクラスに入ってきたのです。ずかずかと僕のところに来ると、いきなり「鉄人28号描いてみっせ!」と一言。ずいぶん無礼な奴だなと思いましたが、とびっきりの鉄人を描いて見せた。彼は、しばらくジッと眺めていたが、なんと無言のまま出て行ってしまったのです。「オイオイ、感想なしかよ。上手いとか下手くそとかあるだろうに」と思いましたが、僕の実力を認めたんだろうと勝手に解釈しました。

その転校生はU君といい、五年生の時のクラス替えで同じクラスになりました。話してみると意外と気さくな奴で、彼の家に遊びに行って一緒に漫画を描いたり、プラモデルを作ったりする仲になり、その関係は高校生まで続くことになったのです。

【めもあある漫画館】

〔 セ ミ 取 り 〕

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